百年先のことを思いながら、
今日を歩んでいる。

今日、私たちがつくるウイスキーは、
長い時間をかけてできあがり、
さらに長い長い時間を超えていきます。
そう、ウイスキーについて考えることは、
未来に思いを馳せることに他なりません。
三郎丸蒸留所は、これまでの長いあいだ
私たちのウイスキーづくりを支えてくれた
地域の自然と文化が、このさき百年、
もっと遠い未来までも続いていくように、
今日もウイスキーと向き合っています。

高熱効率・高耐久の鋳造製ポットスチル
「ZEMON(ゼモン)」を共同開発。

三郎丸蒸留所では、富山県高岡市の伝統工芸である高岡銅器の技術を活用した世界初の鋳造製ポットスチル「ZEMON」を高岡銅器メーカーと共同開発しています。「ZEMON」は鋳造の特性によって従来の鍛造製ポットスチルに比べて胴部の銅厚が約2.5倍となり、その高い蓄熱性により燃料消費量を従来のおよそ半分に削減、CO2排出量を抑制します。またこの厚い青銅の耐久性によって80年以上の使用に耐えることが期待でき、資源の有効活用と廃棄物削減にも貢献します。
さらに、この「ZEMON」を自社のみで使用するのではなく世界の蒸留所へ広く発信することで、持続可能なウイスキー業界の実現に努めています。

鋳造製ポットスチル<br>「ZEMON」については こちら

地域の豊かな水と自然を守るため、
富山県産ミズナラの樽を共同開発。

かつて燃料用薪炭材として全国的に活用されていたミズナラ。その需要が減少した現在では、伐採されず山林に放置された老齢木に伝染病を媒介する虫が付くことでナラ枯れを引き起こすという問題が各地で起こっています。一方で、ウイスキー熟成樽の原材料としてのミズナラは、「ジャパニーズオーク」として世界的に高く評価されています。
三郎丸蒸留所では、「木彫刻のまち」として知られる富山県南砺市井波地域で林業を営む企業や木工職人と共同で富山県産ミズナラ樽の開発に取り組み、「三四郎樽」として商品化しました。これは、質が高く地域に根付いたウイスキーづくりを目指すと同時に、地域の木材の有効活用と環境保全、地域の林業・木工業の存続も支援する取り組みです。
また、樽の製造過程で発生するミズナラの端材は、三郎丸蒸留所でウイスキーボックスやコースター、マドラーなどのグッズとして、併設のレストランで炊飯用の薪や燻製用のスモークウッドとして使用し、地域の木材を余さず有効活用することに努めています。

富山県産ミズナラ樽<br>「三四郎樽」については こちら

ウイスキー熟成庫では
自然のエネルギーを活用。

ウイスキーにとって熟成は重要な製造工程であり、その環境を保つためには適正な温度・湿度の管理が求められます。三郎丸蒸留所のウイスキー熟成庫では、地下水を活用する井水式クーラーや屋根散水システムを導入し、自然のエネルギーを最大限に活用して電気使用量を削減する熟成環境を整備しています。

3番麦汁の採取により、環境負荷を抑え
原料・水・エネルギーを有効活用。

ウイスキー製造における糖化・濾過の工程では、加熱と冷却の熱交換が何度も行われ、同時に多量の水を使用します。濾過工程で得られる3番麦汁を次回の仕込み水として使用し糖を回収しながら熱エネルギーと水の消費を抑える方法がありますが、生産量の少ない小規模の蒸留所ではコストに見合うメリットを得るのが難しく、それを行える蒸留所は少ないのが実情です。
三郎丸蒸留所では、この3番麦汁使用による原料と水資源の有効活用、熱エネルギー消費とCO2排出抑制、加えてよりスモーキーな成分を回収し味わいを高めるメリットを重視して、3番麦汁の活用をおこなっています。

製造工程で排出される麦芽かすを
地域の畜産業に飼料として提供。

ウイスキー製造工程で排出される麦芽かす(ドラフ)を、富山県内の酪農家に飼料として提供しています。酪農家の方々にとってはコストを抑えてトレーサビリティの確保された飼料を得られ、三郎丸蒸留所にとっては廃棄物を有効活用できる、双方にメリットのある取り組みです。
製造工程で発生したままの麦芽かすは水分を多く含むため保存が難しく、飼料としての使い勝手はよくありません。三郎丸蒸留所では専用の搾り機を導入し、酪農家の方々にとって使いやすい飼料を提供することで地域の畜産業を支援しています。